Pika of kisyou

棲息地 〜Living ground〜

ナキウサギは、アジア・北アメリカおよび東ヨーロッパの一部の、寒冷な気候の土地に分布する。多くの種は、隠れ家となる割れ目の多く見られる山地の岩場に棲息するが、自ら単純な巣穴を掘る種もあり、その中のあるものは、開けたステップに棲息する。ユーラシアの山地では、しばしばナキウサギの巣穴にユキスズメ類が巣を作り、両者は同じ巣穴の中で共存する。
考古学者の Donald Grayson が、Journal of Biogeography 誌2006年1月の記事で警告しているところによると、人類の活動と世界的な気候変動により、アメリカのナキウサギの生息域の高度は上昇しつつあり、これによりこの個体群が絶滅に至る可能性もあるという。Grayson はシエラネバダ山脈からロッキー山脈に至る地域の過去4万年にわたるナキウサギの棲息域を調査した。これより早く、Journal of Mammalogy 誌にも、同様の結論を導く記事が掲載されている。

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折居健二

特徴 〜Feature〜

ナキウサギは一見ハムスターのような小動物で、短い四肢と丸い耳、短い尾をもつ。サイズは種によって異なるが、体長約18-20cm、尾長2cm弱、体重75-290g。狭義のウサギ類と同様、餌を食べた後、まず緑色のやわらかい糞をし、さらに栄養を摂取するために、この糞を食べる。その後、固形のコロコロした糞をする。ナキウサギは草食であり、さまざまな植物を採食する。その棲息地により、主に草やスゲ類、潅木の小枝、コケ、地衣類などを食べる。ウサギ目の他の動物と同様、ナキウサギは切歯をもつが犬歯を欠き、また、臼歯の数は狭義のウサギ類より少ない。歯式は 2.0.3.2/1.0.2.3 (切歯、犬歯、小臼歯、大臼歯)となる。岩地で暮らすナキウサギは、1度に5頭までの子しか産まないが、巣穴を掘る種は、これより多くの子を産む傾向があり、繁殖の頻度もより高い。この違いはおそらく、後者の棲息地の方が、より豊かな資源を活用できることによるものと思われる。妊娠期間は25-30日程度。


分布 〜Distribution〜

ナキウサギ(鳴兎、英:Pika, rock rabbit, whistling hare)は、ウサギ目(重歯目)ナキウサギ科 Ochotonidae に分類される動物の総称。現生するものは1科1属で、同科には ナキウサギ属 Ochotona のみが属する。長らく14種とされてきたが、その後の研究により、30種まで増えている。 総じて耳介は小さく、一見ハムスターのような姿だが、(狭義の)ウサギ類の近縁種である。 その名のとおり、高い警戒音でよく鳴く。属名の Ochotona は、モンゴル語の ogotona または ochodona に由来する。また、英名の Pika はツングース語の piika に由来するため、本来は[/pika/](ピカ)と読むのが正しいが、そのスペリングから [/'paɪ·ka/](パイカ)と読まれることが多い。日本には、北海道にキタナキウサギ (O. hyperborea, Northern Pika) の亜種、エゾナキウサギ O. h. yesoensis が棲息する。
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折居健二

習性 〜Habit〜

ナキウサギは昼行性または薄暮性で、通常は昼間の方が活動的であり、標高の高い地域に棲息する。最も高い活動性を示すのは、冬になる前の時期である。ナキウサギは冬眠しないため、冬の間のあたたかい寝床兼食料として、自ら作った干し草を必要とする。ナキウサギは新鮮な草を集め、それらを積んで山を作り、干し草にする。草が乾ききると、巣穴に運び込んで貯蔵する。他の個体の作った干し草をかすめ取る行動は珍しくない。そういった行動の結果としての争いは、フェレットや猛禽類のような近隣の捕食者に、漁夫の利を与えることになる。ユーラシアのナキウサギは、一般的に家族単位で暮らし、餌の収集と見張りを各個体が分担する。そのうちの少なくとも数種は、なわばりをもつ。一方、北米のナキウサギは単独性であり、繁殖期を除いて単独で暮らす。

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